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2007年7月30日 (月)

星のお姫さま 31

サユリにはマキの辛さが正直よく分かっていなかった。

サユリ自身ストーカー被害にあった事がないからだ。

ただ、同じ職業の人間としてストーカー被害にあった時の気持

ちの辛さはなんとなく分かっているつもりではあった。

「マキちゃんさ、明日は出勤する?」

「う~ん・・・。正直考え中・・・」

「明日、出勤しようよ。私マキちゃん迎えに行くから一緒に行こう」

「サユリさんにそこまでしてもらう理由がないよ・・・」

「いいって!気にしないで。私だっていつそういう事になるか分

からないし、私にできる事は何でもしたいの」

サユリはマキの両手をとってそう言った。

「サユリさん・・・。ありがとう・・・」

「当欠の事も一緒に謝るから心配しないで大丈夫!」

サユリはそういって、右手の親指を突き出した。

マキはうつむいていた顔を少し上げ、同じポーズで返した。

「じゃあ、マキちゃん明日電話するね」

「うん。本当にありがとう・・・」 マキは少し涙ぐんでいた。

「水臭いじゃない。もしストーカーがいても私が守ってあげるから

ね。それじゃね。帰りは大丈夫?」

マキは美由紀の事を見て 「うん。今日は多分大丈夫だと思う」

と言った。

「なにかあったらすぐ電話してね。じゃあ、美由紀。お姉ちゃん

に挨拶して」 そう言ってサユリは美由紀の肩に手をかけた。

「お姉ちゃん。またね!バイバイ」 そう言う美由紀にマキは笑顔

で「またね!バイバイ」 と手を振った。

「じゃあね、マキちゃん」

サユリはそう言って美由紀とエスカレーターで降りていった。

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2007年7月23日 (月)

星のお姫さま 30

「あるお客さんに、ストーカーみたいにされちゃって・・・」

「えっ?そうなの?誰?私が知っている人?」

サユリは立て続けに質問をした。

「多分知らない人だと思う・・・。最近来た人で、ぶっちゃけモ

テそうな感じのタイプじゃないし、多分マキに優しくされてその

気になっちゃったんじゃないの?」

風俗を含めた水商売では、客がコンパニオンやホステスに惚

れるというのは日常茶飯事に起こる事だ。

店で働く人間としては、客に嫌われるより好かれたほうが仕事

がやりやすい。その為に、笑顔で接客もするし時には客をその

気にさせるような事を言ったりもする。

その言葉を商売のトークとしてとらえるか、本気ととらえるかは

客次第ということになる。

「そうだったの・・・」 サユリが同情するように言った。

「うん。昨日だって出勤しようと思っていたのに、家を出て駅に

着いたらその客が改札で待っててさ・・・。怖くなって家に戻ろう

としたんだけど、気づかれて家まで着いてこられても嫌だから

そのままタクシーで新宿まで行ったんだ。」

マキが当欠した理由を言った。

「タクシーで店まで着ちゃえばよかったのに」

サユリがそう言うと

「だって、出勤して店に来られても嫌でしょ?」

サユリはピンときた。昨夜、マキを指名したいと電話があった

のを思い出したのだ。サユリが待機室に戻る時に店のボーイ

が「すみません。今日マキさんお休みなんですよ」と断っていた

のを思いだした。

「そんな事があったのか・・・。でも相談くらいしてくれればいい

のに」 サユリは少し悲しいと思いながらそう言った。

「うん。相談しようと思ったけど、自分で蒔いた種だからね。そ

んな事でサユリさんに迷惑かけたくなかったんだよ」

サユリにはマキの優しい気持ちが逆に辛く思えた。

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2007年7月16日 (月)

星のお姫さま 29

「マキちゃん?」

サユリはエスカレーターですれ違う時に言った。

「えっ?サユリさん?」

マキも驚いた表情でサユリを見た。

「マキちゃん。上がった所で待ってて」

「うん」

二人は偶然にも会う事ができた。

サユリは驚きとうれしさが入り混じった、なんとも言えない気持

ちだった。

「ママ、あの人誰?」 美由紀がサユリに聞いた。

「あの人はママのお友達。美由紀、ママお友達と少しお話した

いからちょっといい?」

「うん」

サユリは反対側のエスカレーターに乗って、マキのいるフロア

へ向かった。

マキは、エスカレーターの踊り場にいた。

服装はいつも仕事の時とは違う感じで、あきらかに普段着とい

った感じだ。

「マキちゃん。どうしたの?何かあった?」

サユリの第一声だった。

「ごめんなさい。メールも電話もしなくて・・・」

「そんなのはいいけど。心配したよ」

うつむくマキを見た美由紀が言った。

「こんにちは」

その言葉を聞いたマキが笑顔で 「こんにちは」と返した。

サユリはマキの笑顔を見て少しホッとした。

「マキちゃん。娘の美由紀よ」

紹介された美由紀は軽く会釈をした。

「美由紀。お友達のマキちゃん」

マキは膝を曲げ、美由紀と同じ目線になって、こう言った。

「美由紀ちゃん。ママの事好き?」

すると美由紀は 「うん。大好き」と答えた。

美由紀とマキのやりとりを見たサユリはすごく心が温かくなっ

た気がした。

「ところでマキちゃん。ど~して当欠したの?」

サユリは単刀直入に聞いてみた。

「う~ん・・・。実は・・・」

マキが口を開いた。

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2007年7月 9日 (月)

星のお姫さま 28

この日は晴れていた。

いつも美由紀と会う時は、何かをすると決まっている訳ではな

い。食事をしたり買い物をしたりと普通の事をしている。

いつものように美由紀を迎えに行き、実家の近くのデパートへ

行った。この日は平日の昼と言う事もあってデパートは比較的

に空いていた。

「美由紀、何食べようか?」

「ママは何食べたいの?」

「ママはねぇ~・・・、何でもいいよ」

「美由紀も何でもいいよ」 美由紀が笑顔でそう言った。

こんなありきたりな時間をサユリは大切に感じていた。

離婚した事に後悔はしていないが、何の罪もない美由紀に

辛い思いをさせるのは、心が痛い思いでいっぱいだった。

二人はデパート内のレストランに入った。和・洋・中の揃っ

たレストランだ。

そこで遅めの昼食をとった後、デパートで買い物をした。

サユリは、せめてもの罪滅ぼしの意味で美由紀の欲しい物

は何でも買ってやりたいと思っているのだが、美由紀はあま

り欲しがる事をしない。

自分のしつけが正しかったとは思わないが、子供ながらに今

の環境が理解できているものだとサユリは思っていた。

結局、この日は美由紀の洋服を買っただけで買い物は終わっ

た。

買い物が終わると実家に戻り、夜まで一緒に過ごす。

サユリと美由紀は手をつないで、デパートのエスカレーターに

乗っていた。

その時、反対側のエスカレーターをマキが上がってきた。

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2007年7月 2日 (月)

星のお姫さま 27

次の日、サユリが目をさますと時計は午前10時をまわってい

た。

今日は美由紀と会う約束をしている。

今日だけじゃなく、休みの日は基本的に美由紀に会うように

している。

しかし、サユリにはマキの事が気がかりで仕方なかった。

目をさまして携帯を見ても、マキからメールも着信もなかった

サユリはマキの事を考えながら、出かける準備を始めた。

花梨やももはまだ寝ているようで、起こさないように気を遣い

静かに支度をしている。

サユリは準備が済み、部屋を出てから携帯で美由紀に電話

をかけた。

携帯電話の液晶に“呼び出し中”の文字が出ている。

しばらくすると美由紀が電話に出た。 「もしもし、ママ?」

サユリは少しホッとして

「もしもし、美由紀?おはよう。これから迎えに行くけどいい?

「うん。待ってるね、ママ!早く来てね」

時間にして数十秒の会話でサユリはうれしくなった。

それと同時に“今の生活を早く終わらせないと”と思うのであっ

た。

しかし、どうしてもマキの事が頭から離れない。

美由紀に会いたいけど、マキの事も探したい。

複雑な気持ちでサユリは美由紀に会いに行った。

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