星のお姫さま 30
「あるお客さんに、ストーカーみたいにされちゃって・・・」
「えっ?そうなの?誰?私が知っている人?」
サユリは立て続けに質問をした。
「多分知らない人だと思う・・・。最近来た人で、ぶっちゃけモ
テそうな感じのタイプじゃないし、多分マキに優しくされてその
気になっちゃったんじゃないの?」
風俗を含めた水商売では、客がコンパニオンやホステスに惚
れるというのは日常茶飯事に起こる事だ。
店で働く人間としては、客に嫌われるより好かれたほうが仕事
がやりやすい。その為に、笑顔で接客もするし時には客をその
気にさせるような事を言ったりもする。
その言葉を商売のトークとしてとらえるか、本気ととらえるかは
客次第ということになる。
「そうだったの・・・」 サユリが同情するように言った。
「うん。昨日だって出勤しようと思っていたのに、家を出て駅に
着いたらその客が改札で待っててさ・・・。怖くなって家に戻ろう
としたんだけど、気づかれて家まで着いてこられても嫌だから
そのままタクシーで新宿まで行ったんだ。」
マキが当欠した理由を言った。
「タクシーで店まで着ちゃえばよかったのに」
サユリがそう言うと
「だって、出勤して店に来られても嫌でしょ?」
サユリはピンときた。昨夜、マキを指名したいと電話があった
のを思い出したのだ。サユリが待機室に戻る時に店のボーイ
が「すみません。今日マキさんお休みなんですよ」と断っていた
のを思いだした。
「そんな事があったのか・・・。でも相談くらいしてくれればいい
のに」 サユリは少し悲しいと思いながらそう言った。
「うん。相談しようと思ったけど、自分で蒔いた種だからね。そ
んな事でサユリさんに迷惑かけたくなかったんだよ」
サユリにはマキの優しい気持ちが逆に辛く思えた。
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