星のお姫さま⑨
マキは、サユリの後輩にあたる。
入店当時からサユリの事を姉さんのように慕っているのだ。
マキは元々ヘルスで働いていた。
マキにもサユリのように風俗で働く目的があった。
それは自分の店を持つという事。
自分が大好きなネイルサロンを持ちたいという夢をもって
福島から上京してきたのだ。
お金を貯めたいが、OLでは何年かかるか分からない。
短期で多く稼ぐ為に、風俗の世界に飛び込んだ。
とはいうもの、風俗のイロハも知らないマキにとって風俗は
未知の世界。自分なりに色々調べてヘルスで働く事を決めた
のだ。
しかしヘルスとは名ばかりで、本番行為を店が強要していた。
風営法では、あらゆる風俗において本番行為は禁止されてい
る。にも関らず、店の売り上げの為に「本番をやって客を引き
付けろ」と言われていた。
風俗界の事を知らないマキにとって、それが当たり前だと思っ
ていた。
正直マキもヘルスで本番行為をやっていた。しかし店はヘルス
だったので、シャワールームしかなく衛生面で不安だった。
マキが直接、お客の身体を洗えない狭いシャワールームしか
ない店だった。
結局、三ヶ月でヘルスを辞めてしまった。
しかしヘルスでの本番行為のおかげでマキの中に一つの境界
線を引いた。“本番行為の方がお金になる”と。
そして行きついたのがソープランドだった。
数あるソープランドの中から“星のお姫さま”を選んだのは単
なる偶然。
マキの入店初日、色々教えてくれたのがサユリだった。
それ以来マキはサユリを慕うようになったのだ。
サユリもマキを可愛がっていた。
なんとなく憎めないキャラのマキに愛情にも似た感覚を抱いて
いた。きっとマキがサユリを信頼しているのがサユリ自身にも
感じる事ができたからだ。
二人を乗せた電車は鶯谷駅に到着した。
「サユリさん。今日もお互いがんばろ~ね」
そういうマキの笑顔を言葉にサユリはいつも元気づけられる。
「うん。がんばろ~ね」
サユリもマキに笑顔で返した。
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